あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
5
「もうこんな時間だ。」

私が時計を見ると、今まさに6時半。

私は慌てて、帰りの支度を始めた。

「今帰りか?」

社員用の裏口のところで、外から帰って来た山崎さんと会った。

「はい、お先に失礼します。」

私はぺこりと頭を下げた。

「佐川は戻って来ているかな?」

そう山崎さんに聞かれて、ドキッとする。

「さあ…、私は事務所にずっといたので…。」

私はドキドキしながら、そう答える。

「了解。戻って探すよ。お疲れ。」

そう山崎さんは言うと、会社の中に入って行った。

私はぺこりと頭を下げる。

この状況なら、多分先に佐川さんが会社を出ているはず。
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