あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

私の事なんか心配してないで、ちゃんと仕事に集中してほしいな。

そんな自分勝手な事を考えていると、社長が事務所に戻って来た。

ちょうどお昼休みも終わりだ。

「相原さん、明日の昼から面接だ。3人同時にするからよろしくな。」

「分かりました。」

私はゆっくりうなずく。

「さっきの電話は佐川だったんだろう？どうだ、頑張っていたか？」

社長は少し表情を崩した。

「ええ、何だか忙しそうでした。」

私は笑って答える。

「ここと違って、大きな会社は維持していくだけで大変だ。相原さん、あいつをいろいろと守ってやってくれよ。」

私は不思議そうに社長を見た。

「守るって…？」

社長は優しく微笑む。

「あいつは会社内で息をつく間もないほど仕事は山積みのはずだ。しかも周りはあいつが望んでいるように動ける部下ばかりじゃないだろう。自分の立ち位置と会社の状況を把握するまで、佐川はかなり神経を使う事になるだろう。それを癒す事を出来るのは、相原さんだけだよ。」