あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

それに気が付いて、山根さんも私に目を合わせた。

「今日から俺が家まで送って行く事は、佐川さんに話した?」

さらっと聞いてきた山根さん。

「はい、お昼に電話で。」

私は正直に答えた。

「嫌がっていただろう。佐川さんの怖い顔が目に浮かぶよ。」

山根さんはおかしそうに笑う。

「じゃあ、仕事に戻るわ。今日は6時頃で良いかな?」

「はい、でもしばらくして大丈夫なようだったら、なるべく早くちゃんと自分で帰るようにしますから。」

そう、私がこの会社に残る事で迷惑を掛けたくない。

「俺には相原さんと二人っきりになるチャンスだからね。そんな事気にする事無いよ。」

笑いながら、山根さんは出て行った。

「ふう~。」

思わず息を吐いてしまった自分に気が付いた。
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