あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

「俺は自分がちゃんと諦められるまで、頑張るつもりだよ。」

山根さんの笑顔に私は圧倒される。

「それまでその大学時代の面接ストーカーから相原さんを守らせてよ。そのうち相原さんの気持ちも俺に動く事があるかもしれない。だって今は相原さんのそばに佐川さんは居られないんだから。」

「でも私は…。」

「良いから。やっと思いを伝える事が出来たんだから。」

山根さんの優しさは明らかに郁也と違う。

確かに山根さんと居れば、私は守られるだろう。

でも…、それは対等な立場ではないような気がする。

郁也は私の考えをちゃんと聞いてくれて、それを尊重してくれた。

それはただ守られるだけとは、違うような気がする。

その後、山根さんと私は会社の事を話題にしながら、食事を終えた。

「ごちそう様でした。」

今日は自分が支払いをするといって利かない山根さんに根負けし、私は店を出ると頭を下げた。

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