あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私はうなずくしかなかった。

だって郁也には仕事を頑張って欲しかったから。

でもこれでますます私からは連絡をしにくくなった。

こんな状態がかれこれ1か月ほど過ぎた。

いつものように社用車で山根さんに送ってもらう。

やっぱり山根さんは私の退社時間に合わせるのは無理で、こうして仕事の最中に山根さんの都合の良い時間に家まで送ってくれる。

これまで何も触れなかった山根さんがついに私に聞いた。

「相原さん、佐川さんとあれから会ったの?」

何気にそう話を振られた。

「お互いに忙しくて、ラインで連絡を取る程度です。」

私が苦笑いをしながら、答えた。

「ずっと相原さんのこわばった笑顔ばかり見ているような気がする。俺にはそんな無理をするなよ。」

山根さんはちょっと寂しげな顔を運転席から私の方に向けた。

「すいません。」

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