あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「俺はあんな大人げない姿を見せた上に、萌香はストーカーの事も全く言ってこない。俺は萌香にとって必要のない男になってしまったのかと…。」
私達は同じタイミングで吹き出してしまった。
「話があるというラインが来てからちょっと考えた。別れを告げられるんじゃないかって。萌香を手に入れたつもりで浮かれていたから、こんな事になってしまったんじゃないかって。だから俺から電話したんだ。」
私はスマホをぎゅっと握った。
「違う。」
思わず叫んでしまった。
「私はあれからずっと笑えなかったの。社長も小夜子さんも私を持て余し気味だった。でも今日山根さんに言われたの。何も考えずに郁也に飛び込めって。」
そして私は深呼吸をした。
「郁也に笑顔をかえしてもらってきてよ…っとも言われたわ。」
「萌香!」
あれ?
私の名を呼ぶ郁也の声がスマホ以外から聞こえてくる。
「入れてくれ。」