あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私は郁也の胸にすっぽりと納まってしまった。

「俺が萌香の事を嫌いになるわけないだろう。萌香の事を考えないように一生懸命仕事をしたんだぞ。そんな俺の気持ちが分かっているのか?」

「じゃあ、あの一言のラインは何だったの?」

「俺の精一杯の悪あがきだ。せめてああでもしないと、萌香と本当に切れてしまいそうで…。」

ちょっと必死な顔をみせている郁也。

「じゃあ、私のラインに対しての返信はどうしてなかったの?」

「それは仕事が忙しかったのと…。」

郁也は私を見た。

「ラインが続いてしまうと、萌香に会いたくなってしまう事が分かっていたから。」

ふっと笑う郁也。

「これでも仕事が軌道に乗るまでは、萌香が会いたいと言うまでは、と自分に言い聞かせていた。でも、俺から電話したら、萌香の声を聞いたら、我慢出来なくなってここまで来てしまった。」

そして私達はどちらからともなく唇を重ねた。

「萌香、会社の事は置いておいて、やっぱり一緒に暮らさないか。」
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