あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「えっ?」
「もう萌香も分かってるだろう。」
そして郁也はもう一度私に触れた。
私の返事も聞かないようだ。
「今度の休みに引っ越しして来い。」
「でも…。」
すると切なげな眼を郁也は私に向けた。
「萌香が音をあげる前に、俺が限界だ。萌香の顔を毎日見れなら、これ以上俺は仕事を頑張れない。」
最後は子供のわがままみたいに聞こえた。
「さっ、こんな所にいないで、中に入れてくれ。」
そう、私達はずっと玄関で座り込んでいたのだ。
まだ玄関のドアが閉まっていて、うちの中側だっただけましかな。
郁也の言葉に私が笑う。
するとそんな私を見て郁也も笑う。