あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
29
帰り道、久々に一人で駅に向かう。

何となく懐かしい気がする。

朝はちゃんと電車で通っているのに。

もうすぐ駅という所で、私は呼び止められた。

「…萌香。今日は一人なんだな。」

そこには篤弘の姿。

でも私は落ち着いていた。

一度はちゃんと話さなければならないと思っていたから。

「ちゃんと話をしよう。こないだは済まなかった。あの時は久しぶりに会った萌香に気が高ぶっていたから…。」

「あの時、そばに有美がいたのに気が付いていた?」

「ああ、あの萌香と一緒に居て声をかけて来た奴は有美の今の彼氏か?」

私はうなずいた。

「そうか。こんな所で立ち話もなんだから、その辺のカフェに入らないか?」

篤弘のこの様子なら大丈夫だろう。

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