あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私はそう思って、篤弘とすぐそばのカフェに入る。

向かい合って座って思った。

学生時代はずっと5人で居たから、こうやって篤弘と二人きりというのは、ほとんどなかったような気がする。

もちろん篤弘は有美と付き合っていた訳だから、大体そこには有美も居た。

「あの時は本当に申し訳なかった。」

席に着くなり、篤弘は頭を思いきり下げた。

「有美と付き合いだす前から、ずっと萌香の事が気になっていた。でも有美に告白されて、これを断ったらきっと俺達5人の関係は崩れてしまうと思った。」

う~ん…。

この辺の感覚が昔から篤弘とは合わないと感じていた部分。

「私は例え篤弘が有美の事を断っても、みんなと仲間でいようって有美に約束していたの。有美もその事にとても悩んでいたから。」

「萌香はさ、雄二が有美の事を好きだったって知っていた?」

私はじっと篤弘を見る。

「雄二にさ、有美に悲しい思いをさせるなって言われていたんだ。だからもう別れる事も出来なかった。」

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