あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
今までと違う雰囲気の佐川さん。
「はあ…。」
私は繋がれている自分の手を見た後、佐川さんの顔を眺める。
大きくてごつごつした男の人の手。
現場に出ている事を伺わせる日焼けした手。
緊張して、私の手の方が汗をかきそう。
「さっ、電車が来ている、行くぞ。」
佐川さんはそう笑うと、走り出した。
いつの間にか駅まで来ていたようだ。
いつも見慣れた風景が違って見える。
「さっ、佐川さん。」
私も引っ張られるままについて行く。
二人で改札を抜け、電車に飛び乗った。
乗ったと同時に、電車のドアが閉まる。
無事に電車に乗った事で、二人で顔を見合わせて笑う。