あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「お客様、大丈夫ですか?お連れの方がなかなか戻ってこないと心配されていますが。」

きっとさっきコーヒー運んで来てくれた若いウェイトレスさんだろう。

「ご、ごめんなさい。ちょっと気分が悪くなってしまって。すぐ出ます。」

「では、そうお伝えしておきます。」

そう言い残すと、そのウェイトレスさんが遠ざかっていく気配がする。

これでここにこれ以上居る事は無理になった。

私は恐る恐る扉を開けた。

しょうがない。

この店から出るのを、なるべく遅らせるしかない。

私は溜息をつくと、渋々元の席に向かった。

そちらの方を見ると、誰かが篤弘と話している。

有美じゃない。

見慣れたその男の人の後姿。

私はそこへ駆け寄った。

「ああ、気分が悪くなったんだって?大丈夫か?」
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