あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
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「たまたまこの近くに居て良かった。有美さんから透に連絡があって、すぐに俺に知らせてくれた。」

店を出るなり、郁也は私の肩を抱いた。

そしてそのまま電車に二人で乗った。

「有美さんは自分が行っても、あいつを説得できるか迷ったらしい。そこで透と一緒に向かうつもりで連絡をしたらしい。」

そして私をじろりと見下ろした。

「なんで俺に真っ先に連絡をくれないんだ?俺は心配で、もともとこっちに迎えに来るつもりでいたのに。」

私は拗ねたような顔をした。

「だって郁也に連絡したら、仕事を置いてきちゃうでしょう?周りの人に迷惑を掛けてしまうわ。」

「今日は接待だったんだ。親父と行く予定だった。でも萌香の所に行かなくてはならなくなったと言ったら、理由も聞かずに送り出してくれた。接待は親父一人で大丈夫だからって。」

多分郁也はお父様に有無を言わせなかったんだろうな。

そんな様子が目に浮かぶ。

「私、郁也の会社に行く。」
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