あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

急にそんな風に言い出した私に、郁也は怪訝そう。

「お父様からうちの社長を通じて、正式にスカウトされました。どうも仕事より別の意味で求められているみたいだけど。」

私は少し気取った言い方をした。

郁也は不思議そうな顔をしている。

「郁也はどんな風に仕事をしていたの?郁也の無茶を止めるために、私が必要だそうよ。誰の言う事も聞かないんだって?」

私は郁也の様子を見ながら、ちょっと大げさに、そして茶化すように言ってみた。

一瞬、口ごもる郁也。

「俺は真面目に仕事に没頭していただけだ。ちゃんと成果もあげているし…。」

「お父様が心配しているそうよ。このままだと郁也が潰れてしまうって。」

私は郁也に微笑みかける。

「そんな事聞いちゃったら、ほっておけないよ。」

「でも社長や小夜子さんが困るだろう。」

郁也が首をかしげる。

< 356 / 400 >

この作品をシェア

pagetop