あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
急にそんな風に言い出した私に、郁也は怪訝そう。
「お父様からうちの社長を通じて、正式にスカウトされました。どうも仕事より別の意味で求められているみたいだけど。」
私は少し気取った言い方をした。
郁也は不思議そうな顔をしている。
「郁也はどんな風に仕事をしていたの?郁也の無茶を止めるために、私が必要だそうよ。誰の言う事も聞かないんだって?」
私は郁也の様子を見ながら、ちょっと大げさに、そして茶化すように言ってみた。
一瞬、口ごもる郁也。
「俺は真面目に仕事に没頭していただけだ。ちゃんと成果もあげているし…。」
「お父様が心配しているそうよ。このままだと郁也が潰れてしまうって。」
私は郁也に微笑みかける。
「そんな事聞いちゃったら、ほっておけないよ。」
「でも社長や小夜子さんが困るだろう。」
郁也が首をかしげる。