あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「社長と小夜子さん、籍を入れたんだって。それで夫婦で会社をしていくから、私はお邪魔になっちゃうみたい。」

えへへと他人事ながら、私は照れてしまった。

「なんだ、二人に先を越されちゃったじゃないか。」

そして郁也はニヤリと笑った。

「今日親父に結婚式を早められないか相談されてさ。じいさんの事もあるけど、俺の専務就任のお披露目が必要になったらしくて、そこで婚約パーティを兼ねたいらしい。それが1か月後、出来ればその流れで半年後には結婚式といきたいらしい。」

「ええっ?」

私の思っていたよりもずっと早いその予定。

「しっかり親父は後ろからあそこの社長に手を回していたんだな。」

あははと声をあげて笑う郁也が嬉しそう。

「やっぱり嫌か、萌香。萌香が納得できないのなら…。」

私はふうと息を吐いた。

「みんながこんなにお膳立てしてくれているのに、もう逆らえないよね…。」

最後はごにょごにょとごまかしてしまった。

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