あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「やっと俺のモノになってくれるんだな。」

私は立ち止まった郁也の胸にすっぽりと包まれてしまった。

そして郁也は私を離すと、電車を降りようとする。

「うちに寄って行くだろう?」

そう、ここは郁也のマンションの最寄りの駅。

「もう少し話そう。」

郁也は私の手を引っ張った。

いつものように郁也のマンションに連れて行かれた。

マンションのエントランスで、透さんと有美が居た。

「萌香、大丈夫だった?」

真っ先に私に抱き着いてきた有美。

ああ、大学時代の有美を思い出す。

そう、有美はあんな事があるまでは、本当に私にとっては大事な友だった。

いつもどんくさい私を気遣ってくれて…。

「ありがとう、有美。もう大丈夫だから。郁也がちゃんと篤弘を説得してくれたから、もうあんな思いをしなくても良いと思う。」
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