あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
そして私は有美の顔を見た。
「篤弘にね、また5人で会おうよって伝えたの。」
「ええ?萌香ってそんな事を言っていたのか。」
郁也がそばでびっくりしている。
「篤弘ももう大丈夫かなって思ったから。」
すると有美がクスリと笑った。
「萌香は時々こんな風に周りを驚かせるのよ。他人に優し過ぎるんだから。郁也さん、苦労するかもよ。」
「もう充分振り回されている…。」
郁也が肩を落とした。
「そうそう、俺が郁也に良かれと思って萌香さんに言った事が裏目に出ちゃったみたいだな。ごめんね、萌香さん。」
きっと仕事に没頭している郁也に余裕が出来るまで…、と言っていた事だろう。
「まさかあの時、二人が連絡をちゃんと取っていないなんて思ってなくてさ。」
「でも萌香も郁也さんも私達に話してくれなかったのもいけないのよ。私達が中に入る事だって出来たのに。」