あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

ちょっと不本意そうに有美は頬を膨らませる。

「ごめんね、有美。あの時は自分の事でいっぱいいっぱいで…。」

郁也も透さんに睨まれて、苦笑いをしている。

「そう言えば、萌香、お母さんから連絡あった？」

有美の話がころりと変わった。

「最近、郁也さんのご両親と萌香のご両親が何かと連絡を取り合っているみたいよ。ねぇ、透。」

有美の言葉に透さんがうなずく。

「こないだ伯父さん夫婦を萌香さんの実家に連れて行ったんだぜ。」

私は郁也の方を向いた。

郁也も驚いたように私を見ていた。

私と視線が合うと、慌てて首を横に振った。

「親父は俺達が思っているよりも、手を回しているみたいだな。」

二人で思わず笑みを漏らす。

「もしかして、お披露目パーティで何かするのか？」

好奇心満々で透さんはウキウキしている。