あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「そうか。萌香らしいといえば、萌香らしいけど。でももう二人では会うなよ。最低でも有美さんに一緒に行ってもらえよ。」

郁也は言った。

「うん、でもあの篤弘の様子なら大丈夫だと思うよ。」

「あのな…、萌香…。」

呑気に答えた私の顔を覗きこむ郁也。

「危険はないと思いたい。でも俺はどんな相手でも男と二人で会って欲しくない。ましてあいつは俺の知らない大学時代の萌香を知っているわけだろう。それだけでも気に食わないに決まっているだろう。」

本当に分かっているのか…とでも言いたげな郁也の顔。

「はい、分かりました。」

ここは素直に郁也の言う事を聞いておこう。

肩をすくめて、そう答えた。

その瞬間、郁也に唇を塞がれた。

不意を突かれた私はバタバタした。

それでもびくともしない郁也。

次第に落ち着いてきた私は郁也に身を委ねた。
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