あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
それでも足りないくらいだ。

「良いのよ。早く佐川さんの元に行ってあげてほしいと思ったのは、私達なんだから。」

小夜子さんと毎日会えなくなるのはとても寂しい。

「おかげで私達も籍を入れる決心がついたんだからね。実はとてもありがたいと思っているよ。こんな事でもないと、ずるずる行ってしまう所だったからね。」

社長は小夜子さんを見て、照れている。

事務所に誰かが入って来た。

「お邪魔します。萌香を迎えに来ました。」

それは郁也だった。

「もう、今日はいいって言ったよね。私のせいでお仕事をサボってばかりで、他の人に申し訳ないわ。」

思わず私の口をついて出る。

「週明けから萌香が出勤したら、ずっと仕事漬けにされるんだから、今日だけは勘弁してくれ。」

郁也が言うと、社長はその様子を見て笑った。

「怖い秘書さんが付くと、仕事の手が抜けないから、ますます大変になりそうだな。」

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