あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「それはお互いさまじゃないですか?」

郁也は小夜子さんに目くばせする。

「あら、うちの社長は私が見張ってなくても、仕事命だから大丈夫よ。」

すました顔をして小夜子さんが答える。

その瞬間、4人とも笑い出した。

「社長も小夜子さんもお披露目パーティには来て下さいね。後で招待状を送ります。」

急にきりっとした顔を見せた郁也。

「婚約者のお披露目も兼ねているんだって?」

社長は目をくるっとさせた。

「二人とも頑張ってね。是非行かせてもらうから。」

小夜子さんにそう言われて、私達はこの会社を出た。

当然いつもの私の退社時間より、相当遅くなった。

「どうしよう、明日引っ越しなのに何も準備が出来てない。」

私がそう言うと、郁也が笑う。
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