あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「大丈夫。その辺の事は全部引っ越し屋に話してあるから。」
その郁也の言葉通り、ものの見事に引っ越しは終わった。
郁也のマンションは広いから、とにかく空いている部屋に私の荷物がおさめられた。
要らない物はそのまま引っ越し屋さんに引き取ってもらった。
「いらっしゃい、萌香。今日からここが君の家だよ。」
引っ越しやさんが帰ると、郁也が私にふざけて笑った。
「会社から家からバタバタだったね。」
私は息を吐く。
「週明けから俺と出勤だぞ。大丈夫か?」
「明日一日で何が出来るかな。」
私は頭をめぐらす。
「ごめん。明日は親父の所に行く。パーティの打ち合わせだ。」
申し訳なさそうに郁也は言う。
「そうなんだ。しばらくは落ち着かないね。」