あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

「俺がレポートを通してもらえないと進級出来ないという時に、講義中にもかかわらず、教授に掛け合ったのは誰だった?」

今度は直孝が口を開く。

「俺がサークルで、上の学年の人にいちゃもんつけられた時、何も考えずにその中に飛び込んで来たのは誰だった?」

そして最後に篤弘が有美を見てから、口を開く。

「俺と有美との大ゲンカに、中に入ってお互いの家まで押しかけて、一生懸命とりなしてくれたのは誰だった?」

「…すべて私です。若気の至りです。忘れて下さい…。」

私は恥ずかしそうに、片手を上げた。

「忘れられる訳ないだろう。」

篤弘が少し力のこもった声で言う。

みんなが一様にうなずいている。

「萌香がそんな姿を見せるのは、俺達の為ばかりで、自分の事はいつもそっちのけだったじゃないか。」

「そんな萌香が最後だけ何も言わずに連絡を絶ったこと、今ならおかしいと思えるのにね。」

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