あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
その様子を見て、私も慌ててビールを持つ。
そしてお互いのジョッキを合わせる。
「今日はありがとね。」
そういう佐川さんに私は一瞬止まった。
「どうした?」
不思議そうな佐川さんの顔。
「いえ、佐川さんに面と向かってありがとうなんて言われると、恥ずかしいですね。」
えっ…という表情をする佐川さん。
「いつも私が佐川さんにお世話を掛けて、ありがとうって言ってばかりですから。」
私はそう言って微笑んだ。
今度は一瞬動きが止まったのは佐川さん。
「私、おかしな事を言いましたか?」
佐川さんの表情を見て、私は心配になって聞いた。
「…いや。そんな事を相原さんに言われるとは思わなくて…。」