あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
会場の空気が緩んだような気がした。

そして誰からともなく拍手が起こったのだ。

郁也の挨拶を間近で眺めていた。

前の会社では、郁也が働いている姿なんてほとんど見た事はなかった。

でもこの1か月、一番そばで郁也の仕事中の姿を見て来た。

社長であるお父さんに比べてまだだけれど、その粗削りながら自分で切り開いて行こうとするその姿はほれぼれするものだった。

そしてこんな大勢の前で話す郁也を見るのも、今日が始めての訳で…。

まだまだ知らない郁也の姿があるのかな。

その事にワクワクする。

そこで私はふぅっと息をついた。















< 393 / 400 >

この作品をシェア

pagetop