あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「郁也?あれ、私リビングで…。」
目をこすりながら、萌香はまだ寝ぼけているようだ。
「このまま寝るか?」
そう問いかけた俺の表情は、とても他の奴に見せられない優しく甘いものなんだろう。
萌香の横に腰かけて、萌香の顔を覗きこんでいる俺の腕が掴まれた。
「郁也~。」
甘えた声で何か言いたげな萌香の表情に、俺は首をかしげた。
「どうした?」
じっと俺を見つめる萌香は急に顔を背けた。
「萌香?」
俺はさらに萌香の顔に自分の顔を近づける。
何かをささやく萌香。
俺はさっきより優しく微笑む。
否、表情が緩んでしまったと言った方が近いか。