あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
急に考えこんでしまったような佐川さん。
私は話していた事を頭の中でリピートしてみる。
やっぱりおかしな事は言ってない。
私はそう思って、佐川さんを見る。
すると佐川さんは優しい顔をして、既に私を見ていた。
「ねえ、相原さん。」
ビールを飲んだせいだろうか、佐川さんの顔はほんのり赤くなっている。
「俺と一緒に転職しない?」
「はぁ~?」
私はあまりの驚きで、大きな声を出してしまった。
佐川さんは自分の口に人差し指を立てて、微笑む。
私は思わず周りをきょろきょろと見回した。
そんな私の様子を見て、もう笑いがこらえられないという顔をしている佐川さん。
私はもうどうしてよいか分からず、目の前のから揚げを一つ口に入れた。