あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
もう嫌だ。

私が恥ずかしさで、情けなくなって来た。

私は自分の膝を見つめる。

やっぱりいい気になって、男の人と二人きりでこんな所に来るから…。

昔の事をふっと思い出し、後悔の念が湧き起こる。

佐川さんと二人きりでなんて、私には無理だったんだ…。

なんでこう悪い方向にしか考えられないんだろう。

「相原さん。」

もう一度佐川さんに名前を呼ばれたが、顔を上げると涙が出そうで動けない。

「こら、萌香(ほのか)。」

私はびっくりして思わず顔を上げて佐川さんを見る。

何で私の下の名前を呼んでいるの?

「人の話を聞く時は、ちゃんと顔を見て…。」

佐川さんは私を見ると、言葉を切ってしまった。

「ごめん。俺、何かひどい事を言ってしまったか?」

< 41 / 400 >

この作品をシェア

pagetop