あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
でも…。

私は佐川さんの鍵を預かって居なければ、今日私は佐川さんのマンションに向かっただろうか。

私は思わず腕を組んで、首をかしげる。

絶対佐川さんは私に鍵を渡す事で、私の性格上佐川さんの家に行き、絶対に夕食を作って待っていると確信している。

その事に気が付いて、私は溜息をつく。

どれだけ佐川さんは私の事を分かっているんだろう。

単純な人間だからな…、私。

しっかり佐川さんのペースに乗せられている。

そこで今日はサンドイッチに合わせて、お茶の代わりに入れたコーヒーを飲む。

昨晩途中で切り上げた夕食とほとんど食べられなかった朝食のせいで、とてもお腹が空いている事に気が付く。

仕事中はそんなに感じなかったのに…、そう思うとちょっと笑いがこみ上げる。

私はサンドイッチをくわえながら、思わず笑みを漏らした。

「一人で笑って気持ち悪いよ、相原さん。」

そこに入って来たのは社長だった。
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