あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「まあ、それは社長と俺との話だからね。これ以上は萌香には話せない。」
一瞬真面目な顔をして、私に顔を寄せる佐川さん。
「ちっ、近いです、佐川さん。」
私は反射的に顔を後ろに引こうとした。
そんな私の後頭部に佐川さんの手が回る。
優しく私の唇に佐川さんの唇が触れる。
「佐川さん!ここは会社です。」
私は佐川さんの胸を押した。
「今晩はちゃんと話そうな。途中で寝るなよ、萌香。」
佐川さんは私の頬を手で撫でると、ニッコリ笑って去っていった。
「…もう…。」
私は去っていく佐川さんの気配を寂しく感じた。
ダメだ、すっかり佐川さんのペースにはめられている。
私は佐川さんに撫でられた頬に自分の手を持っていく。
困ったな…、嫌じゃないんだよね…。