あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
そう言えば佐川さんは着替えを持って来いと言ったよね…。

それってまた佐川さんの家に泊まるって事だよね…。

そんな事に気が付いて、私ははたと歩みを止める。

経験がなくて分からない…。

何故だか焦ってくる私。

さっきまでの軽やかな動きが、途端にペースダウンをする。

さっき追い抜いたはずの人に、また追い抜かれた。

一体何を用意して行けば良いんだ…?

何とか自分のアパートにたどり着くと、私は部屋にペタンと座る。

部屋は朝の時間のなさを示しているように、いつもより散らかっている。

だからいつもの時間の電車に乗れたわけだけど。

取りあえず、普通の旅行のつもりで荷物を用意しよう。

私はのろのろと立ち上がると、動き出した。

しかし同じ所をウロウロとするだけで、時間がかかってしまう。

「もう。」

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