あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

「佐川さん、お客さんみたいなので…、あれ?」

何故かスマホから聞こえるどこかで聞いた音。

「ここが萌香の家か。」

えっ?

私は思わずスマホを耳から離し、一目散に玄関に走って行く。

慌ててドアを開けた私に、スマホを耳の当てたまま反対の手を掲げて振る佐川さんの姿。

「あっ…。」

私は思わず口をあんぐり開けた。

「なんとなく手間取っているんじゃないかって思ってさ。」

スマホを切ると、何でも見透かされているような佐川さんのその表情。

「どうしてここに?」

私は慌てて佐川さんに聞く。

「その分じゃ夕飯の買い物もまだだろう。スーパーにでも寄って俺の部屋に行こう。」

そう言いながら佐川さんは部屋に入って来ようとする。
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