あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
2
「相原さん。」

お昼が終わると、佐川さんがいつものようにやって来た。

私の所にはいろいろな用事でいろんな人が来るけれど、絶対佐川さんが一番ここに寄っていると思う。

佐川さんは事務所に私しかいないのを確認したようだ。

そしてこう切り出した。

「俺さ、ここを辞める事になったんだ。」

とても意外な佐川さんの言葉に私はびっくりした。

「転職ですか?」

私はとっさに佐川さんの方を振り向いて、そう聞いた。

「うん…、そういう事になるのかな…。」

佐川さんはいつもと違って、歯切れが悪い。

いつもならわりとはっきりと話をする佐川さん。

佐川さんのそんな様子に私が首をかしげる。

実は…、と言いながら佐川さんは話してくれた。

< 9 / 400 >

この作品をシェア

pagetop