あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「さっ、佐川さん。」
私は小声で言う。
「どうした?」
佐川さんは全く気にならないような様子。
「手…、手が…。」
私はおろおろする。
「大丈夫だから。透は信用していい。」
そんな訳の分からない事を言っている佐川さんはとても満足そう。
「こら、俺に見せつけているつもりか。」
透さんはニヤニヤ笑いながら、運転をしている。
私は出来る限り佐川さんから離れようとする。
でも佐川さんは身体を寄せて来て、どんどん私は車のドアの方に追い込まれる。
「佐川さん。」
意を決して、大きな声で佐川さんを呼ぶ私。
きっと恥ずかしさで真っ赤にしているに違いない。