あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

「いつの間にか萌香に触れたくて触れたくて仕方なくなっていた。だから二人で会う強引な約束を取り付けた。そして何とか萌香に山中建設に来るように説得するつもりだった。例え時間がかかったとしても。」

佐川さんは私の左肩に顎を乗せた。

「やっぱり俺のモノにならない?」

前に聞いた佐川さんのセリフ。

「自分の中で萌香に惚れている事を肯定したら、気持ちが楽になったんだ。」

ぎゅっと力が入る佐川さんの腕。

「ずっとこうして居たい。」

そうポツリと言った佐川さんが、なぜだかとても愛おしく感じて…。

私は思わず佐川さんに腕を回していた。

佐川さんが身体をずらし、私の頭を自分の胸に包み込む。

「昨日俺の胸の中で眠ってしまった萌香を飽きずに眺めていた。だからベッドへ萌香を寝かせてから、写メでその寝顔を撮ってしまった。いつでも見られるように。」

そして私の顔を覗きこむ。

私はあまりにも恥ずかしくて、思わず視線を避けてしまった。
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