初恋マネジメント





カーッと顔が熱くなって、

「バカじゃないの……」

なんて一人でに呟いた。




――昔からあたしは健太のあの顔に弱いのだ。


楽しそうで、無邪気で、子供みたいな笑顔。



空気は読めないし、アホだし、鈍感だけど、いざというときは頼りになって、誰より優しい。


背は部内で一番高いのに、顔は普通で全然モテるタイプじゃないけど。



……けどだから、あたしは油断しちゃってたのかもしんない。




「さーな先輩、おでこのそれ、取らないんすか~?」


「……ゲッ」




背後から不意に意地の悪い声を掛けられて、反射的におでこを押さえた。


……最悪だ。




「……三橋くん」


「ゲッ、だって、ひでー」




振り返ればニヤニヤ笑う三橋くんがいて、冷えピタが貼られたまんまのおでこをとんっと人差し指で小突かれた。



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