初恋マネジメント





「……三橋くん、絶対言わないでよね、健太には」


「言わないっすよ」


「……絶対、言わないで」




あたしに勝ち目はない。


この気持ちがバレてしまったら、大好きな健太と友達ですらいられなくなる。



あいつはあたしのことを姉みたいに思ってるだろうし、困らせたくないのだ。せっかく幸せそうなんだし。



絶対、気付かれちゃいけない。


……今までこんなことなかったのにな、ホントついてない。




三橋くんを睨みつけてバド部のコートに戻ろうとすれば、

「代わりに、今日部活終わったらゴハン付き合ってください」

ノー天気な声に誘われた。




どうせ拒否権なんてないのだろう。




「……いいけど、あんたの奢りだからね!」




半ばやけくそで言えば、彼はもちろんです、なんて頷いてへらりと笑った。



よっしゃー散財させてやる。見てろよバカ三橋。



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