初恋マネジメント
っていうか、あたし、健太のこと裏切ってるのに。会わす顔がない。
気まずい。果てしなく一方的にだけど、気まずい。
「あ、健太くんお疲れさま!」
「うん。で、何の話?」
「私たち友達になったんだよー」
「友達?」
「ね、紗奈ちゃん」
それでも優花ちゃんは、名前の通り優しくあたしに微笑みかけてくれた。
……こんなに怪しいあたしに。いい子だなあ。
なんとなく敗北感。敵わないなと思う。……いや、そもそもあたしじゃ相手にもならないか。
「そーなんだ、なんか嬉しいな!」
「実は、ずっと紗奈ちゃんと喋ってみたいって思ってたから、私も嬉しい!」
「アハハ」
こちらの汚い思惑など露ほども知らないノー天気カップル二人に必死に愛想笑いを浮かべるあたしは、ぎゅっと密かに拳を握る。
健太の奴、嬉しいな、じゃないよ。人がどんな思いでいるかも知らないで……! バッカじゃないの。
「あ、やばい、優花のバスの時間そろそろだよな?」
「うん、ほんとだ! ごめんね紗奈ちゃん、またゆっくり喋ろ?」
「もちろん。あたしこそ急にごめんね、またね」