初恋マネジメント
優花ちゃんはにっこりと笑って、小さく手を振ると健太と体育館を出て行った。
あたしのほうが、ずっと長く健太のこと好きだったのに。ずっと一番近くにいたのに。
その後ろ姿を見詰めながらじわじわ込み上げてくる悔しさに耐えていれば、ぽんっと肩に重みを感じる。
「紗奈先輩、お疲れ」
「お疲れじゃねーよ」
なに爽やかに笑ってんだこのチキン。
満足げな顔をしている三橋くんを睨みつけて、ふんっと顔をそらしてやった。
「あんたが二人きりだと緊張するっていうからあたしが優花ちゃんと先に喋っててやったのに、なんで会話に参加してこなかった!?」
「いやあもうマジ俺上がっちゃってて、すんません」
「今まで取っ替え引っ替えしてきた女子たちはなんだったのよ」
「優花さんはほんと特別。話すのも無理」