初恋マネジメント
ぐっと言葉に詰まって何も言えなくなったあたしに、三橋くんは「先輩カワイー」なんて思ってもないであろうお世辞でからかってくる。
ムカつくなあ! 言わなきゃよかった!
「あとはなんかないっすか?」
「……やっぱアプローチって、話すことから始めるべきなんじゃない?」
「話すこと……」
「見てるだけじゃ始まんないんだって。今日せっかくあたしがチャンス作ってあげてたのに、あんた何してた!? モップ抱っこしてただけでしょ!」
思い切って指摘してみれば、彼はショックを受けたように目を見開くと、またがっくり項垂れた。
「……ほんとそれですよねー、紗奈先輩、気持ち隠しながらよくキャプテンと普通に話せてますよね……」
「あ、あたしたちはホラ、付き合い長いから」
「俺も、優花さんのこと好きだって自覚する前までは、普通に話せてたんだけどなー」
膝に頬杖をついた三橋くんは、寂しそうに遠くを見詰めているみたいで。
……なんだこのピュアボーイは。ちょっと可愛いじゃないの。
なんて思ってしまった。