初恋マネジメント
「――ちょ、調子に乗んなあああああ!」
「えっ、……わっ、」
ドンガラガッシャーン。
なんて、ギャグ漫画ばりの効果音とともに三橋くんは思い切りよく吹っ飛ばされて、机数個と共に床に倒れ込んだ。
あたしが力いっぱい突き飛ばしたからだけど。
触れられた頬を手の甲で擦り取りながら、動悸の治らない胸に手を当てて深呼吸する。
――びっ、びっくりしたびっくりしたびっくりした!
三橋くんはいってー、と呻きながら体を起こすと、恨みがましくあたしを睨んでくる。
でもつい思わずやってしまったのだ。あれ以上されるがままになっていては、あたしの心臓が持たなかった!
ある種の正当防衛じゃなかろうか!
「先輩酷いじゃないっすか! んな思いっきり突き飛ばさなくても!」
「あのね!? ほ、本気で好きな子できたなら、そうやって気軽に別の女に触れるなって話よ!」
――高一にして学校一のモテ男でチャラ男は、どうやら本気で恋をしたらしい。
そのお相手は何を隠そうこのあたし。