初恋マネジメント
まさか、まさかまさかまさか。
優花ちゃんは先に約束していた健太とのデートを断って、三橋くんと遊ぶつもりなのだろうか。
……いや、まさかだ、まさか。
だって正直言うとあたし、いくら三橋くんでも健太たちの仲を引き裂くのは不可能だと思っていたもの。
あんなに仲の良い二人だったのに、あり得ないじゃないか。
「まあ家の用事ならしゃーないけどさー、久しぶりの休みだったから割と残念」
がっくりとあたしの隣で肩を落とす健太を見て、ぎゅっと心臓が痛くなった。
どころか、そりゃ三橋くんに協力していたあたしにはそんな資格がないのだろうけれど、優花ちゃんには怒りさえをも覚えてしまう。
だってそんなのってひどい。いやあたしのせいでもあるのだけれど。
確かに健太は三橋くんほどイケメンじゃないし、鈍感だけど、裏切るなんて許せない……! いや先に健太を裏切ったのあたしだけど。
……あれ、結局あたしが悪い?
「……元気出してよ、また今度の休みに遊べばいいよ」
ぎくりとして、結局口を衝いて出たのはそんな陳腐で薄っぺらい、何の慰めにもならないような言葉だけ。
「そうだよなー、……サンキュー紗奈」
健太はあたしの声が上ずっていたことに気付かないまま、無理やり笑顔を作って言った。
だけどあたしの大好きな、楽しそうで無邪気で子供みたいな、いつもと同じそれじゃなかったことに気付いて、すごく泣きそうになった。