初恋マネジメント
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「紗奈、今日部活中止だって。体育館使えないから」
帰りのホームルームが終わり、制服からジャージに着替えるべく席を立った時だった。
そう教えてくれたのは、隣のクラスであり、バド部女子の部長である里美(サトミ)。
「えっ、そうなの」
「言うの遅くなってごめん、うち2年に言って回ってるから、悪いけど紗奈、1年生に伝えてきてもらえないかな?」
「了解、まかせて」
スマホを確認すれば、確かにグループラインで顧問から部活中止の情報が送られてきていた。
グループの通知は切ってる子がほとんどだし、誰も反応していないからまだ1年生は知らないのかもしれない。
バスケ部が休みなのも体育館が使えなかったからなのか。
1年の教室を目指して階段を上がっていけば、運よくバド部全員が固まっていて簡単に見つけることができた。
こんにちは、と元気よく挨拶されるけれど、自分が人よりも上の立場にいるという現状になかなか慣れない。
もっと気楽なのが好きなのに。