初恋マネジメント





――じゃない。じゃなくて、そうじゃない。



言わなきゃだめだ、あたしは協力できないって。言うつもりだもちろん。


さっきみたいに健太の悲しそうな顔を見て、罪悪感に駆られるのなんかもうこりごりだ。やっと思い知ってしまった。


人を裏切ってるのってつらい。




「……なんか俺、紗奈先輩とこうやって友達みたいになれて、すごい嬉しいんすよ」


「……え?」


「先輩、暗い人かと思ってたんすけど、一緒にいてすげー落ち着きます。お姉ちゃんみたいで」




上目遣いのまま、へへってちょっと照れたみたいに笑う三橋くんに思わずちょっとだけときめいてしまった。


……くっそ可愛いこと言うな!



あたしも、三橋くんってもっとチャラチャラした、軽い人かと思ってたけど、実際はすごく話しやすいし、気の利く人だって印象に変わった。


飾らない性格っていうか、イケメンなのに親しみやすい。



あたしも割と良い友達をやれてると思っていた。三橋くんは普通に良い子だ。



いや、優花ちゃんがそんな風に彼を変えてくれたのかもしれないけれど。



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