初恋マネジメント
「なるほど! ああもう、やっぱ紗奈(サナ)先輩が協力してくださいよ!」
――ではなく。
初恋に協力してほしいと、正式にオファーされたのだ。
「絶対嫌!」
「ええーっ、なんでっすか」
不満げに言う三橋くんを睨みつけて、はーっと溜息を吐いた。
「……逆に、なんであたしなのよ」
実はあたし、三橋くんとは直接的な接点がない。
彼の所属するバスケ部のキャプテンがあたしの幼馴染で、そいつを通してたまーに顔を合わせる程度の仲だったはずだ。
目が合うと必ずニコってしてくれたから、その時からずっと軽い人だなーとは思ってたけど。
けどそれだけで、決して本気の恋を手伝い合うような間柄ではないと断言できる。
なんなら会話するのも初めてだ。
「……俺、さっきも言った通り、こんなにマジで恋愛すんの初めてなんすよ」
「今まで散々色んな女の子取っ替え引っ替えしといてか!? つーか女落とすくらい、あんたなら朝飯前でしょうが!」
「いやだから! 本気の片想いってやつのやり方を教えてほしいんすよ!」
「本気の片想いってなによ」
「……あの、相手彼氏いるんで」
予想外の告白を聞いて、ちょっと面食らった。