初恋マネジメント
ぐっと言葉に詰まったまま、三橋くんのパフェのアイスが溶けてテーブルに垂れたのを黙って見ていた。
……絶対教えてなんかやらん。バーカバーカバーカ。
「……紗奈先輩、俺も、簡単に諦められる半端な気持ちじゃないんですよ、今回は」
それなのに三橋くんは、俺も、って、あたしの気持ちまで認めてくれる。
……好きな相手に好きな人がいるからって、簡単に諦めのつくような思いなら、彼だってあたしなんかに相談してこなかったのだ。
あたしが健太をどうしようもなく好きであるように、三橋くんも優花ちゃんをたまらなく好きなのかもしれない。
諦めて、なんて、本当にあたしが言えるようなセリフじゃなかった。恥ずかしい。
――こんな、ケンカみたいな言い争いがしたかったわけじゃないのに。
「紗奈先輩」
「……」
「パンケーキ、冷める前に食べましょうよ!」
そうやって三橋くんはニコって笑った。
テーブルにぽたぽた落ち続ける彼の溶けたアイスを見て、迂闊にも涙腺が緩んでしまう。
……教えてあげなくてごめんね。