初恋マネジメント






「……それにキャプテンの悪口も」


「……いやー、付き合ってたらそりゃ、嫌なとこ見えて愚痴言いたくなるときもあるんじゃないかな……?」


「でも紗奈先輩は言わないですよね、人の悪口」


「……あたしは別に、……比べることじゃないでしょう、そういうのは」


「先輩、キャプテンにこのこと言うんですか?」


「……えっ」




素っ頓狂な声が自分の口から衝いて出た。



……健太に言う?


このことって、優花ちゃんのこと。




「……チャンスですね、紗奈先輩にとっては」




こっちを見て小さく笑った三橋くんからそっと視線を外す。




「……言わないよ」




それから間を空けて、呟くように言った。




「え、なんでですか!」


「……言えないよ」




驚く彼に問われるけれど、言い訳する子供みたいに声が小さくなる。



……言えるわけない。


さっきからずっと考えていたけれど、あたしの出した答えはそれだった。




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