初恋マネジメント
レッスン 5
「――やっぱ、俺からびしっと言ってやった方がいいんじゃないですかあ?」
「……頼むからやめて」
――そう。決めたまでは良かった。
「だってあれから1週間すよ!? 先輩ヘタレすぎません?」
「……返す言葉もないけど! でも言わないで!」
何を隠そうあれから1週間。
あたしはまだなんのアクションも取れずにいた。
健太とも、優花ちゃんとも何も話せていない。
……言い訳になるけれど、上手くタイミングがつかめないんだもん。1週間も空いてしまったのなら特にだ。
「……それより三橋くんはもう平気なの? ……普通に優花ちゃんと話せてるみたいだけど」
「何言うんすか! 全然平気でも普通でもないっすよ! あの笑顔の裏にどす黒い本性が隠れてるんだと思うと俺マジ怖くて怖くて……!」
「ちょ、声大きいから! 聞こえんじゃん!」
「……まあ、そうは言ってもあの天使スマイルを前にしてはキュンキュンしちゃったりもしてるんですけどね」
部活前の体育館、まだ部員は数人しか来ておらず健太と優花ちゃんはいないものの、慌てて周りを見回した。
……セーフ。