初恋マネジメント
レッスン 2
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「どした? なんか元気ねーなあ紗奈!」
「……健太(ケンタ)」
お昼休みからずっと上がらないあたしの気分の悪さに、さすがに鈍感な幼馴染も気付いたらしい。
天然パーマのせいでモジャモジャ黒髪の健太は、得意の大声であたしの背中を叩いた。いてーよ。
「部活休めば?」
「……いや、うーん、それは無理」
健太はバスケ部のキャプテン、あたしはバド部のマネージャー。
同じ室内競技で体育館での練習が被る日は、練習の前にこうやって話したりする。
「……あ、もしかして二日目?」
「違う。最低」
大真面目な顔で訊くデリカシーのないそいつを睨みつけた後で、ハーっと大きく溜息を吐いた。
……なんかアホらしくなってきた。
こんな最低大バカ野郎を好きになってしまったばっかりに、悪そうな後輩に脅された挙句面倒事に巻き込まれてしまうなんて。