初恋マネジメント
……って、まさか三橋くんはこういうとこを見て、あたしの気持ちを知ったのか!?
気付いて慌てて周りを見回すけれど、一年生はまだ誰も来ていないらしかった。
とりあえずはよかったけれど、あの悪魔がいつ来るかわからないし、健太とは離れておいた方がいいかもしれない。
「そんじゃね、あたし部活の準備があるから」
「あ、待って紗奈」
そそくさと立ち上がって場を去ろうとしたのに、健太はあたしの手首を掴んで引き止める。
片手で自身の鞄を漁った彼はそこから冷えピタを取り出すと、一瞬の隙を突いてあたしのおでこにそれを貼り付けた。
「……ちょ、ぎゃっ、やだー!? なにすんの!? 前髪巻き込まれてんじゃん!」
「今日もあちーからな、しっかり水分補給すれよ!」
「言われなくてもするし!」
「はいはい、じゃな、俺も準備手伝ってくる!」
楽しそうに笑った健太は、あたしの頭をポンポン数回叩くと、駆け足でバスケ部のマネさんのところへ行ってしまう。